地震が原因でないとすれば、なぜ群れをなすイルカたちは浅瀬に乗り上げてしまうのでしょうか。海洋生物学者たちの長年の調査によって、ストランディング現象を引き起こす複数の自然界のメカニズムが判明しています。
主な要因として挙げられるのは以下の通りです。
- 地形による反響定位(エコーロケーション)の障害:イルカは自ら発する超音波の跳ね返りで周囲の地形を把握します。しかし、遠浅で泥や細かな砂が広がる海岸線では超音波が吸収・乱反射し、前方に壁がないと誤認して浅瀬に突入してしまいます。
- リーダー個体の疾病と強い群れの絆:群れを率いる個体が寄生虫感染(特に耳骨周辺)や病気でナビゲーション能力を失うと、群れ全体がその個体を助けようと追随し、共倒れのように座礁します。
- 海水温の急激な変化と餌の追跡:黒潮の大蛇行や冷水塊の流入などにより、餌となるイカや小魚の遊泳層が変化。獲物を浅場へ激しく追いかけるうちに、潮の干満差に巻き込まれて脱出不能になります。
- 人工的な音響ノイズ:軍事用のアクティブソナーや海底掘削調査の強力な音波により、聴覚器官を損傷してパニックに陥るケースも世界中で報告されています。
このように、座礁は海洋環境の複合的な要因によって引き起こされる生物学的・環境的な遭難事故であり、地底の異変のみに結びつける見方は不自然です。