篠山紀信氏のキャリアにおいても、『Santa Fe』は最高傑作の一つに位置づけられています。バブル崩壊直後の日本において、失われゆく無邪気な輝きと、新たな時代への予感を同時に内包した宮沢りえの姿は、時代の空気そのものを体現していました。
篠山氏はスタジオの密室的なエロスではなく、アメリカ西部の荒涼とした大地、土壁の質感、強い自然光を背景に選ぶことで、被写体の生命力をダイナミックに引き出しました。作為的なポージングを極力排除し、少女から大人の女性へと脱皮する刹那をドキュメンタリーのように捉えたアプローチは、後世の写真家たちに多大な影響を与えました。
日本における「ヌード=タブー・猥雑」という固定観念を打ち破り、「ヌード=至高のアート」へと価値観を塗り替えた功績は、篠山紀信という稀代の写真家と宮沢りえという天賦の才が交差したからこそ成し遂げられた偉業です。