今年に入り、最新鋭の遠隔操作型無人潜水艇(ROV)が撮影した映像は、海洋生物学者たちを驚愕させた。無数の卵がびっしりと産み付けられた深海底の岩場で、じっと動かずに寄り添う個体が捉えられたのだ。そう、彼らは深海の底で、卵を外敵や泥から守るために親がつきっきりで「抱卵」を行っていたのである。
餌が極端に少ない暗闇の世界で、親魚は長期間ほとんど動かず、卵に酸素を送る動作を繰り返す。自らのエネルギーを削りながら次世代を育てるその健げな姿は、これまでの「怠惰でブサイクな魚」というパブリックイメージを根本から覆した。深海底における親の愛は、驚くほど緻密で献身的だった。