1949年に東京で生まれ、幼少期を大阪で過ごした火野正平さん。12歳で劇団こまどりに入団し、子役としてキャリアをスタートさせました。1973年のNHK大河ドラマ『国盗り物語』で豊臣秀吉(木下藤吉郎)役に大抜擢され、その卓越した演技力と愛嬌のある風貌で一躍全国区のスターへと駆け上がります。
時代劇『必殺シリーズ』や『長七郎江戸日記』、映画『震える舌』など、バイプレイヤーとして日本映画・ドラマ界に欠かせない存在感を確立した火野さんですが、後年の代表作となったのが2011年にスタートした『にっぽん縦断 こころ旅』でした。
相棒の自転車「チャリオ」にまたがり、視聴者からのお手紙に綴られた「こころの風景」を訪ねる旅。道中で出会う名もなき市井の人々や、道端の犬や猫、草花にまで優しく語りかける姿は、かつてのプレイボーイ像を上書きし、「日本一愛されるおじいちゃん」としての地位を確立しました。肩肘を張らない自然体の生き様こそが、彼の真骨頂でした。