多くのリスナーが「Bad」を「悪い」「悪徳」と直訳し、悪ぶった男の歌だと誤解してきた。だが、80年代のアフリカ系アメリカ人のストリート・スラングにおいて、「Bad」は「カッコいい」「タフだ」「最高だ」という真逆の賞賛を意味する。「Who's bad?(誰が最高にタフなんだ?)」という有名なフレーズは、暴力で威張るチンピラどもに対し、自分こそが正当な強さとプライドを持っていると突きつける問いかけだ。
歌詞の中では「Ah!」「Shamone!」といった象徴的なシャウトが強烈な印象を残す。「The word is out / You're doin' wrong(噂になっているぜ、お前が良からぬことを企んでいるってな)」という歌い出しから、彼は一貫して「本当の強さとは何か」を問いかける。腕力や犯罪で威圧するのではなく、誇り高く生きることこそが真の「Bad」なのだと。和訳を通じて見えてくるのは、ストリートの脅威に屈しない直球の正義感である。