ローズとマリーの絶妙な掛け合いを支えていた最大の秘密は、その異例の制作手法にある。本作の監督を務めた文原聡と、映像クリエイティブチームPLUS headsは、アニメーションの作画より先に音声の収録を行う「プレスコ(プレスコアリング)」手法を全面的に採用した。
驚くべきことに、登場する無数のキャラクターたちのボイスは、専門のプロ声優ではなく、文原聡監督自身や制作スタッフ、身近な人物たちがマイクに向かって声を当てていた。言い間違いやセリフのつっかえ、笑い声までをそのまま残した音声データを作成し、その波形とニュアンスに合わせて後からキャラクターの口の動きやCGアニメーションを付ける。この手法こそが、ローズ&マリーの呼吸感と、台本感を一切感じさせない生のやり取りを生み出す決め手となった。