『岳』の連載終了後、2013年から『ビッグコミック』でスタートさせたのが、世界一のジャズプレーヤーを目指す青年・宮本大(みやもと だい)の激闘を描く『BLUE GIANT』です。「音の出ない紙面で音楽を表現する」という漫画における最大のタブーとも言えるテーマに、石塚は真っ向から挑みました。
破裂するような汗の飛沫、剥き出しの血管、荒々しい筆致で叩きつけられる黒い陰影。読者に「音が聴こえる」「胸が熱く震える」と言わしめる圧倒的な画力は、過去のジャズ漫画の枠を遥かに凌駕しました。日本編から始まった物語は、ヨーロッパ編『BLUE GIANT SUPREME』、アメリカ編『BLUE GIANT EXPLORER』へと広がり、世界規模のスケールへと進化を遂げます。
2026年に公開された劇場アニメ映画は、世界的ピアニスト・上原ひろみ氏が音楽監督を務めたことでも大きな話題を呼び、観客動員数・興行収入ともに大成功を収めました。「第47回日本アカデミー賞」最優秀音楽賞を受賞するなど、映画化によって石塚真一の名は漫画読者層を超えて世界中の音楽ファンへと浸透していきました。