御柱祭のハイライトであり、同時に最も事故リスクが高いとされるのが「木落し(きおとし)」と「川越し(かわごし)」です。観客を最も沸かせる見せ場である一方、現場は極限の緊張感に包まれます。
上社の木落しは中央自動車道の高架下にある急坂、下社の木落しは最大傾斜約35度、長さ約100メートルもの崖のような斜面で行われます。巨大な御柱に大勢の男たちが鈴なりになって乗り、掛け声とともに一気に滑り落ちる瞬間、柱は激しいバウンドを繰り返しながら猛スピードで落下します。この際、バランスを崩して振り落とされた氏子が回転する巨木の下敷きになったり、柱同士の間に挟まれたりする事故が後を絶ちません。
また、上社で行われる「川越し」は、雪解け水で極めて冷たく増水した宮川を、大勢の氏子が綱を引いて渡る儀式です。低体温症に陥って動けなくなるリスクに加え、川底のぬかるみに足を取られて転倒し、流れる御柱と川底に挟まれる危険性など、水流と重量物が合わさった特有の過酷さが潜んでいます。