白内障手術では、濁った天然の水晶体を取り除き、代わりにアクリル素材などの人工眼内レンズを挿入します。この際、眼内レンズを安定して固定するために、もともと水晶体を包んでいた薄い透明な袋(水晶体嚢)の後ろ半分である「後嚢(こうのう)」を残す手術手技が標準です。この残された後嚢に濁りが生じる状態を、医学用語で後嚢混濁(こうのうこんだく)、一般に「後発白内障」と呼びます。
手術時に水晶体の細胞は可能な限り吸引・清掃されますが、顕微鏡レベルでわずかに残った水晶体上皮細胞が時間の経過とともに増殖し、後嚢へと移動して膜のように濁りを作ります。人工の眼内レンズ自体が濁るわけではないため、厳密には白内障の再発ではありません。
発症時期には個人差がありますが、白内障手術後数か月から数年、特に術後2〜5年で約10〜20%の確率で発生します。若年者ほど細胞分裂が活発なため発症しやすい傾向がありますが、高齢者であっても誰にでも起こり得る、極めて自然な術後生体反応の一つです。