脱気(Degassing / Deaeration)とは、液体や物質の内部に分子状態で溶け込んでいる気体(溶存気体)を物理的または化学的に抽出・除去する技術を指します。
水や有機溶剤などの液体中には、大気と接触している限り窒素、酸素、二酸化炭素といった気体が一定の割合で自然に溶解しています。この溶存気体は一見すると完全に透明な液体に見えるため目視では判別できませんが、温度変化や圧力変動が加わった瞬間に微細な気泡となって顕在化し、さまざまな工程トラブルを引き起こします。
「脱気」と「脱泡」の構造的な差異
現場で最も頻繁に混同されるのが「脱気」と「脱泡(Defoaming / Deaeration of bubbles)」の違いです。この2つは対象とする気体の「物理的状態」が明確に異なります。
- 脱泡(だっぽう):液体中に分散・浮遊している「目に見える気泡(遊離気泡・マイクロバブル)」を液外へ浮上・破泡させて取り除く処理。
- 脱気(だっき):液体の分子間に溶け込んでいる「溶存気体分子」そのものを引き剥がして液外へ排出する処理。
脱泡を行って表面上の泡をゼロにしても、液体内部には飽和状態の気体分子が依然として残留しています。この状態のまま加熱されたり減圧環境に置かれたりすると、溶けていた気体が再び泡となって現れます。根本的な気泡発生を防止するには、脱泡だけでなく脱気処理による溶存気体濃度の低減が不可欠です。