NHK Eテレの看板長寿番組『えいごであそぼ』において、2000年代後半から2010年代にかけて放送された「えいごふだ」は、従来の幼児向け英語コーナーが持っていた「優しく手取り足取り教える」というステレオタイプを真っ向から打ち破る構成で話題を呼びました。
画面に現れるのは、目と口、そしてシンプルな手足が生えた四角い紙のようなキャラクターたち。彼らは台座から飛び出し、日常のちょっとしたトラブルや突飛なアクシデントに遭遇します。そこで発せられるのが、短いけれど感情がダイレクトに伝わる実践的な英語フレーズです。日本語の解説やナレーションによる意味の補足は一切挟まれません。キャラクターの表情、動き、そして声のトーンだけで、英語の持つニュアンスが直感的に理解できるよう極限まで削ぎ落とされた構成になっています。
キャラクターデザインとアニメーションを手掛けたのは、短編アニメ『頭山』で日本人初となるアカデミー短編アニメ賞ノミネートを果たした世界的なアニメーション作家・山村浩二氏です。山村氏特有のどこかユーモラスで不条理、それでいて温かみのある手描き風のタッチが、無機質になりがちな学習コンテンツに独自の生命感を吹き込みました。当時の番組制作関係者の証言によると、「理屈で文法を教え込むのではなく、言葉が生まれる切迫感や感情の爆発を映像化すること」が最優先の開発テーマだったといいます。