今回の映像制作において特筆すべきは、登場人物の内面をあぶり出す独自のフレーム構築だ。重厚なヒューマンドラマとしての側面も併せ持つ本作では、単なる視覚的ショックにとどまらない深いドラマ性が求められる。
未公開の制作舞台裏として明かされたエピソードがある。主演俳優の微妙な表情の変化をとらえるため、上杉は自ら手持ちカメラを担ぎ、俳優の体温を感じられるほどの至近距離で何時間も回し続けたという。CGやポストプロダクションに過度に頼らず、現場の空気感そのものをフィルムに焼き付けるスタイル。その愚直なまでの執念が、画面全体に息をのむような生々しさをもたらしている。