すべての悲劇は、激しい炎とともに始まりました。炎上する自宅の前で、泣き崩れながら土下座をする母・皐月。その姿は、幼い杏子の心に消えない傷跡を残すことになります。世間は「主婦の不始末による失火」と冷酷に決めつけ、皐月は精神を病み、やがて御手洗家は崩壊へと向かいました。
しかし、杏子は信じていませんでした。母が火の元を忘れるはずがない。あの日、火災現場の野次馬の中で、不敵な笑みを浮かべていた一人の女――母の友人であった真希子の姿を、杏子ははっきりと目撃していたのです。この疑惑こそが、のちに壮絶な復讐劇へと発展する導火線となりました。