ネット上の言説において「最終巻の加筆で結末そのものがパラレルワールドのように改変された」という言説が見受けられますが、これは完全な誤解です。ストーリーの根本的な結末(無惨の消滅、鬼殺隊の解散、子孫たちが生きる平和な現代)自体は連載時から一切変わっていません。変わったのは、結末に至るまでの感情の解像度です。
また、23巻の表紙イラストには極めて象徴的な意図が隠されています。第1巻の表紙を想起してください。雪が降りしきる寒々しい白と青の世界で、鬼となった禰豆子を必死に守り、険しい絶望の表情を浮かべる炭治郎が描かれていました。
それに対し、23巻の表紙は満開の笑顔で手を振る炭治郎と禰豆子の2ショットであり、背景には温かな光が満ちています。これは物語が「絶望と孤独」から始まり、「希望と絆の成就」で完結したことを視覚的に証明する見事な構成美です。連載開始から完結までブレることのなかったテーマ性が、この表紙1枚に凝縮されています。