ネット上でしばしば熱を帯びる「どれが本当の正式名称なのか」という議論だが、結論から言えば、公的に定められた単一の正式名称は存在しない。
消費者庁の食品表示基準や日本標準商品分類においても、この菓子は「たい焼き類似品」や「焼き菓子(あん入り)」といった包括的なカテゴリーに分類されるに留まる。食品メーカーが原材料や栄養成分を表示する際も、自社のブランド名や地域性に合わせた名称を任意で記載しているのが実情だ。
歴史的な先後関係だけで判断するならば、文献に残る最古の呼称である「今川焼き」が元祖と位置づけられる。しかし、全国各地で何代にもわたって「回転焼き」「二重焼き」「太鼓焼き」として親しまれてきた文化的背景を考慮すれば、どれかひとつだけを正解と断定することはできない。
大手冷凍食品メーカーのニチレイフーズが関東向けの主力商品を「今川焼」として展開する一方、各地の催事やスーパーでは「大判焼き」の表記が選ばれるなど、流通の現場でも柔軟な使い分けが続けられている。