なぜここまで実態とネットの評判に大きな乖離が生まれたのでしょうか。そこには、エンターテインメント業界特有の構造変化に対する「2つの誤解」があります。
第1の誤解は、「自社ビルを手放す=経営破綻の兆候」という前時代的な固定観念です。現代のグローバル企業において、不動産を自社保有し続けることは資本効率の悪化を意味します。エイベックスの本社ビル売却は、固定資産を現金化して成長投資へ回す「アセットライト経営」の典型例であり、Appleやソニーなど多くの先進企業が実践している合理的な財務戦略に過ぎません。
第2の誤解は、「CDが売れない=レコード会社の死」という短絡的な見方です。音楽業界の主戦場はすでにフィジカル(CD)からストリーミング配信、ライブチケット、グッズ、ファンクラブ、そしてTikTokやYouTube発のタイアップビジネスへと完全移行しました。CD売上ランキングの凋落だけを見て「エイベックスは終わった」と断じるのは、業界の収益構造を無視した議論です。