東京・神田の老舗喫茶店を訪ねると、そこには銅板でじっくりと焼かれた、絵に描いたようなホットケーキがある。表面はサクッと香ばしく、中はみっちりと詰まった食感。訪れる客は「このレトロな重みがいい」と口を揃える。ここにあるのは、昭和のノスタルジーと結びついた「体験」だ。
一方で、渋谷や表参道の最新カフェでは、季節のフルーツやエディブルフラワーで飾られた華やかなパンケーキが並ぶ。こちらはSNSでの視覚的シェアを意識した、いわば「エンターテインメント」としての側面が強い。消費者は、その日の気分や「誰とどこで過ごすか」によって、この二つを無意識に使い分けている。