ここで体験できるのは、単なる宿泊にとどまらない。特筆すべきは、島で途絶えかけていた伝統作物の栽培を復活させる取り組みだ。かつて島民の主食であり、神事にも欠かせなかった「粟(あわ)」や「芋」などの雑穀類を、スタッフ自らが畑を耕して育てている。
収穫された作物は、ダイニングで提供されるモダンフレンチのひと皿へと姿を変える。フレンチの技法を用いながらも、島の風土と歴史が凝縮された味わいは、ゲストの五感を刺激する。一口食べるごとに、この土地が歩んできた過酷な歴史と、それを乗り越えてきた人々の知恵が口の中に広がっていく感覚を覚えるはずだ。