貝木泥舟の正体は、怪異そのものではなく「怪異の偽物」を専門に扱う詐欺師です。大学時代には臥煙伊豆湖を部長とするオカルト研究会に所属しており、忍野メメ、影縫余弦、手折正弦ら名うての怪異のスペシャリストたちと同窓生という驚くべき経歴を持っています。
本物の怪異を退治・調伏する他のメンバーとは異なり、貝木は怪異の存在を端から信じていません。「金のためなら何でもする」と言い放ち、人間の思い込みやプラシーボ効果を利用して偽物の怪異を売りつける手法は、初登場作である『偽物語』の「かれんビー」において、阿良々木火憐や中学生たちを容赦なく追い詰める絶対的な悪役として描かれました。
しかし物語が進むにつれ、彼の冷徹なビジネスライクの裏にある「卓越した交渉力」と「人間心理の掌握術」が明らかになります。怪異の知識を完全に理解しているからこそ、怪異の理屈に囚われず、徹底した現実的手段で事態を解決へと導く実力は、まさにスペシャリストと呼ぶにふさわしいものです。