同世代の俳優たち、例えば映画『野生の証明』などで共演した高倉健さんや、プライベートでも親交の深かった仲間たちは、彼の訃報に言葉を失った。なぜ、彼は最後まで病を隠し通したのか。それは、「同情されたくない」という男の美学があったからだと言われている。観客に「病気なのに頑張っている」という目で見られることを、彼は何よりも嫌った。
「役者は、どんな状況であれ、観客に夢や緊張感を与える存在でなければならない」。夏八木さんが生前、若手俳優たちに語っていた言葉が、そのまま彼の生き様を表している。弱みを見せることは、彼にとって役者としての死を意味していた。だからこそ、彼は最期まで「現役の夏八木勲」であり続けることにこだわったのだ。