実験室に行かなくても、家庭の台所で両者の性質の差は一目瞭然になる。その代表例が「熱に対する反応」だ。
砂糖(有機物)を鍋に入れて熱すると、やがて茶色く変わり、甘い香りが漂い、最後には黒い炭になる。これは、熱によって砂糖の分子構造が壊れ、炭素だけが取り残された結果だ。有機物の多くは燃えやすく、燃えると二酸化炭素と水を発生させる特徴がある。
対照的に、塩(無機物)をどれだけ強火で熱しても焦げることはない。塩の融点は約800度。家庭用のガスコンロの火力程度では、結晶の形のままビクともしない。無機物は一般的に熱に対して非常に強く、燃えて炭になることはない。この耐熱性の違いこそが、両者を見分ける最も簡単な手がかりだ。