毒島メイソン理鶯を語る上で欠かせないのが、彼がなぜ文明社会を離れ、ヨコハマの山奥でテント生活を送っているのかというサバイバル生活の理由です。物語の根底にある設定を紐解くと、そこには痛切な過去と軍人特有の信義が存在します。
かつて理鶯は海軍の一等軍曹として特殊任務に従事していました。しかし、言の葉党による政権奪取と「H法」の制定に伴い、武力行使を前提とする既存の軍隊は完全に解体。居場所を失った兵士たちが散り散りになる中、理鶯は当時の上官から下された「生き延びて、次の指示を待て」という命令を文字通り厳格に遂行しています。
すでに国家機関としての軍隊が消滅している現実を理解しつつも、軍人としての誇りと上官への忠誠心を捨て去ることができない理鶯。いつ下るとも知れない「次の作戦命令」に即応するため、彼は過酷な森の中で身体を鍛え上げ、野生下での生存訓練を自らに課し続けています。この愚直なまでの誠実さが、彼のパーソナリティに深い哀愁と気高さを与えています。