「一度あの感覚を知ってしまうと、日常のセックスが白黒映画のように色褪せて見える」。健太さんはそう振り返る。彼が足を踏み入れたのは、都内のタワーマンションで開かれていたプライベートパーティーだった。覚醒剤や危険ドラッグ、合成カチノン類が回され、感覚が麻痺した状態で数日間に及ぶ乱交が続く。
2026年の現在、国内におけるこの問題はさらに陰湿化している。密室空間で数日間にわたり行為を繰り返すなかで、水分補給や睡眠は完全に遮断される。肉体は限界を超えて軋み、精神は強烈なパラノイア(偏執病)に支配されていく。「部屋の換気扇から警察の無線が聞こえる」「仲間に監視されている」――そんな幻覚や妄想に怯えながらも、快感を求めてシリンジやパイプを手放せなくなる悪循環だ。
当事者の多くは、社会的地位を持つ会社員や医療関係者、クリエイターなど、一見すると順風満帆な生活を送る人々である。日々の激しいストレスや孤独、自己否定感を埋めるために快楽へ逃避し、抜け出せなくなる構図が浮き彫りになっている。