暖簾をくぐり品書きを開いた旅行者がまず目を丸くするのが、「松・竹・梅・華」と並ぶメニューの価格設定です。日本の伝統的な等級付けでは「松」が最上位で最も高価であるのが通例ですが、ぱんちょうでは「松が最も手頃で、梅のほうが格上(高価格)」という完全な逆転現象が起きています。
このユニークな仕組みの真相は、創業当時の家族愛に満ちたエピソードに端を発します。初代店主・秀吉氏を支え、厨房や接客で店を切り盛りし続けた妻の「ウメ」さんの名前から取られたものです。秀吉氏は「苦労を共にしてくれた愛妻の名前を最も安価なランクにするわけにはいかない」と固く決意し、敬意を込めて「梅」を「松」や「竹」より上位に位置づけました。
さらに後年、食欲旺盛なトラック運転手や若者たちの要望に応える形で、梅のさらに上を行く最上級盛りとして「華(はな)」が新設されました。単なる奇をてらったマーケティングではなく、家族への感謝と顧客目線の歴史が刻まれた温かな背景を知ることで、丼を味わう深みがより一層増します。