築80年を超える木造建築をリノベーションした館内は、一歩足を踏み入れた瞬間に時間の流れが変わるのを感じさせる。ほのかに漂う香木の香りと、静寂を包み込むようなアコースティックの音響。壁面には気鋭の現代アーティストによるインスタレーションが飾られ、新旧の美意識が見事な緊張感をもって調和している。
かつての街の記憶を宿す柱や鴨居を残しながらも、バーカウンターには最先端のサステナブル素材を使用。照明の光量は時間帯と訪問者の会話の熱量に合わせて微細にコントロールされるという。単なるノスタルジーへの逃避行ではない。過去の文脈を尊重しながら未来の居心地を模索する、極めて実験的な試みがここにはある。