作品の顔であり続けた主演の藤田まことが演じたのは、山手中央署の安浦吉之助刑事だ。拳銃をめったに抜かず、酒を酌み交わしながら容疑者の心を開かせる佇まいは、視聴者に強い安心感を与えた。『必殺仕事人』シリーズの中村主水役で時代劇の頂点を極めた藤田が、現代劇で見せた新たなる境地。そこには、役者としての並々ならぬ執念と繊細な表現力が息づいていた。
テレビ朝日と東映がタッグを組み、足掛け18シーズンにおよぶ長寿シリーズへと育て上げた背景には、藤田自身の人間性が深く投影されている。撮影現場での彼は、共演者やスタッフに対して常に気配りを欠かさない大黒柱であった。酒好きで娘二人を育てるシングルファザーという安浦の生活感あふれる設定は、藤田の醸し出す佇まいと完璧に融合し、視聴者にとって「実在する警察官」のような親近感を獲得した。