当時の制作スタジオであったガイナックスの熱気と混沌が生み出した『Air/まごころを、君に』は、社会現象となったTVシリーズの結末に対するひとつの回答だった。極限のスケジュールと過熱するメディアの狂騒の中、制作陣は従来の概念を破壊する表現を次々と打ち出した。
巨大ロボットものの枠組みを借りつつ、人間の内面深くに潜む闇を描くスタイル。それはアニメの枠を超えたサイコホラーの領域へと踏み込んでいた。作画監督や原画マンたちがセル画一枚一枚に込めた執念は、キャラクターの指先の震えや表情の歪みにまで宿っている。
時代は流れ、庵野秀明監督が新たに設立した株式会社カラーによって、エヴァンゲリオンの映像資産はデジタル技術で慎重に修復・保存されることとなった。かつての手描きセル画が持つ圧倒的な熱量と重厚なドラマ性は、現在のデジタル環境で視聴しても全く損なわれていない。