現在、食通たちの間で激しい予約争奪戦を引き起こしているのが、2026年シーズンに向けた最新のアラカルトおよびコース展開だ。厨房を率いる職人たちが打ち出したテーマは「原点回帰と鮮烈なる昇華」。シチリア西部の港町トラーパニの伝統を受け継ぐ魚介のクスクスや、現地から空輸される希少な赤海老(ガンベロ・ロッソ)を使ったカルパッチョは、一口で食べる者を南イタリアの海岸線へとトリップさせる。
特筆すべきは、旬の魚介と現地直輸入ワインによる緻密なペアリングの妙だ。例えば、濃厚な旨味を湛えたウニとピスタチオの手打ちパスタ「ブジアーテ」。これに合わせるのは、ミネラル分を豊富に含んだカタッラット種やグリッロ種の白ワインである。凝縮した果実味と鋭くも心地よい酸が魚介の甘みを引き立て、後味に爽快な余韻を残す。限定入荷される土着ワインのグラスを傾けながら皿を味わう体験は、まさに一期一会の贅沢と言っていい。席数が限られるなかで予約が殺到する理由は、この圧倒的な完成度にある。