まず大前提として、睦沢町役場は現在も通常業務を続けており、閉庁や町の消滅といったセンセーショナルな話は一切出ていない。2026年4月時点で確認できる公式発表の要点は、次の3つに集約される。
ひとつは、本庁舎の老朽化に伴う「役場機能の再配置と建て替え計画」だ。築50年を超える現庁舎は耐震基準を満たしておらず、2026年に実施した耐震診断の結果では「震度6強以上の地震で倒壊の恐れがある」と判定されていた。これを受け、2026年度の補正予算で基本設計費として約3,200万円が計上され、2026年度からは本格的な実施設計に着手する運びとなっている。近隣の長生村や白子町が庁舎改修にとどまる中、睦沢町は「建て替え」という踏み込んだ判断を選んだことが、自治体関係者の注目を集めた要因のひとつだ。
ふたつ目は、行政手続きのオンライン化とキャッシュレス決済の本格導入である。2026年2月の定例記者会見で、町は「窓口業務の30%を2027年度までに非対面化する」という数値目標を打ち出した。住民票の写しや印鑑登録証明書などの一部手続きを24時間対応のコンビニ交付に切り替え、役場窓口での現金取扱件数を段階的に減らしていく方針だ。これ自体は国が進める自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)の流れに沿ったものだが、高齢化率が39%を超える睦沢町では「デジタルに置いていかれる住民がいるのでは」という懸念が即座に湧き起こった。
そして三つ目が、図書館・公民館・児童館といった公共施設の複合化である。2026年度にまとめられた「公共施設等総合管理計画」の改訂版では、維持管理費を今後20年間で約25%削減する目標が明記され、その中で複数の施設を「地域交流センター」として一本化する案が示された。特に図書館機能の縮小を巡っては、2026年3月の住民説明会で反対意見が続出し、ネット上でも話題を呼んだ経緯がある。