雄英高校ヒーロー科に入学した当初、彼女が掲げた目標は驚くほど生活感に満ちていた。「お金を稼いで両親に楽な暮らしをさせてあげたい」。ヒーローを目指す動機として、これほど地に足の着いたリアリズムがあっただろうか。平和の象徴に憧れる同級生たちの中で、彼女の望みは素朴で、だからこそ観客の共感を一瞬で掴み取った。
だが、単なる「家計の助け」という動機は、数々の死線を潜り抜ける中で深く昇華されていく。雄英体育祭での爆豪勝己との死闘で見せた、血を吐くような意地と執念。あの敗北の悔しさと涙こそが、彼女を単なる「可愛いヒロイン」から一人の泥臭い戦士へと変貌させる決定的な起点だった。