ドラマ『凪のお暇』における中村倫也の役名は安良城ゴン(あらしろ ごん)。主人公の大島凪(黒木華)がすべてを捨てて引っ越してきた郊外の安アパートで、隣の部屋に住むイベントオーガナイザーです。
誰に対しても壁を作らず、出会ったばかりの凪にも優しく語りかけ、ベランダ越しにゴーヤのツルを通じて距離を縮めていくゴン。しかし、その優しさは凪だけに向けられた特別なものではなく、すべての女性に対して向けられる「境界線のない親切」でした。見返りを求めず、相手をまるごと受け入れる一方で、特定の恋人関係や責任からはふわりと身をかわす。相手が自分に依存し、やがて嫉妬や執着で精神をすり減らしていく様子から、作中では「メンヘラ製造機」という不名誉かつ的確な異名で呼ばれました。
この危険な性質を、中村倫也は決して冷酷な悪人としてではなく、「ただ純粋に人を愛でているだけ」のピュアな青年として体現しました。否定されない安心感に浸るうちに、気付いたときには抜け出せなくなっている――そんな安良城ゴンの底知れない魅力は、視聴者にとっても抗いがたい甘い毒となったのです。