近年、旧東ドイツの秘密警察シュタージの保管庫や旧ソ連の機密解除資料から、当時のプーチンに関する極秘記録が次々と明るみに出ている。残された個人ファイルや未公開写真に写るのは、派手さのないスーツに身を包み、目立たぬよう群衆の背後に立つ痩身の男の姿だ。柔道着姿で見せる鋭い眼光とは対照的に、情報将校としての彼は意図的に自らの個性を消し去っていた。
東欧におけるソ連の影響力瓦解を目の当たりにしたプーチンは、国家の無力さと組織の脆弱性に強い危機感を抱いた。このドレスデンでの孤立無援の経験こそが、西側への深い不信感と、「強烈な中央集権こそが秩序を保つ」という揺るぎない信念を生み出す触媒となったのである。