1993年春、フジテレビ系で放送が始まるやいなや、日本中に空前のブームを巻き起こした『ひとつ屋根の下』。脚本を手掛けたのは、当時エッジの効いた社会派作品で注目を集めていた野島伸司氏だ。過激なテーマや繊細な心理描写を得意とする野島氏が、古典的な家族ドラマという枠組みに真っ向から挑み、見事な化学反応を引き起こした。
長男・達也が「そこに愛はあるのかい?」と叫びながら、バラバラになった弟妹たちを愚直なまでに泥臭く連れ戻そうとする姿。それは単なるノスタルジーではなく、高度経済成長を終えて希薄化しつつあった人間関係に対し、鋭いアンチテーゼを突きつけるものでもあった。平成のヒューマンドラマとして金字塔を打ち立てた本作は、日本のテレビドラマの可能性を大きく広げたといえる。