スポーツの世界において、周囲からの期待値の高まりは時に選手を押し潰す刃となる。だが、彼にとって大歓声や重圧はエンジンを駆動させる上質な燃料でしかない。重要大会の決勝という極限の緊張感の中でこそ、脳波と心拍数が最も安定するという異例のデータが計測されている。
勝負どころでの集中力、いわゆる「ゾーン」に入る再現性の高さは目を見張るものがある。一瞬の判断ミスが勝敗を分ける局面でも、パニックに陥ることは決してない。視界が研ぎ澄まされ、周囲の動きがスローモーションのように感じられると本人は語る。この卓越した精神的タフネスがあるからこそ、土壇場での逆転劇や新記録の樹立が可能となるのだ。