銀幕のスターとして日本中を魅了した高倉健もまた、図越利一と浅からぬ縁を持っていた人物の一人として語り継がれている。スクリーン上で寡黙な男の美学を体現し続けた高倉健は、役作りの背景にある本物の「男の佇まい」を追求する中で、図越と直に言葉を交わし、その生き様を肌で感じ取っていたという。
単なる噂話にとどまらず、当時の撮影現場では図越からの気遣いや配慮がスタッフやキャストの支えになっていたという証言も少なくない。暴力と芸術、闇と光という一見相反する世界が、奇妙なまでの相互尊重によって結びついていた時代。映画業界が黄金期を享受できた背景には、こうした規格外のフィクサーによる精神的・現実的な後ろ盾が存在していたのである。