江口氏の表現の集大成を堪能するなら、年代ごとに刊行されてきた江口寿史氏の画集の系譜を追うのが最も確実です。商業出版の枠を超えた超豪華仕様のアートブックは、グラフィックデザインの資料としても極めて高い価値を誇っています。
38年間のイラストレーションを集約した記念碑的画集『KING OF POP 江口寿史 全イラストレーション集』は、発売と同時に異例の重版を記録。さらに、女性のポートレートのみに焦点を絞った『彼女』、レコードジャケットサイズにこだわったLPジャケット型画集『RECORD』、最新のスケッチやクロッキーを凝縮した『step』など、企画ごとに異なるアプローチで自らの作品を再定義し続けています。
これらの画集を開くと、70年代のサーファー系カジュアルから、80年代の原宿・オリーブ少女、90年代の裏原宿系ストリート、そして現代のオーバーサイズや韓国風トレンドまで、日本のストリートファッションの変遷が克明に描かれていることに気づかされます。江口氏は単なるイラストレーターではなく、「街の空気と女性の美意識を記録し続ける無類のクロニクラー(記録者)」なのです。