「歩いているうちに装具が下にずり落ちてくる」「太ももやすねの骨に金具が当たって痛い」という声は、装具ユーザーから最も多く聞かれる悩みです。装具がズレる主な原因は、ストラップを締める順番の誤りや筋肉の痩せ(術後の筋委縮)によるフィッティングの変化にあります。
ズレを解消し、快適に固定するための実践的なアプローチは以下の3点です。
1. ベルトを締める「正しい順番」を徹底する
装具を装着する際は、まず膝の曲がる中心(関節裂隙)と装具のヒンジ中心の高さを正確に合わせます。その上で、最も重要なのが「すねの一番上(ふくらはぎの膨らみの上部)のストラップ」を最初にしっかり締めることです。ここが土台となって下へのずり落ちを食い止めます。その後、大腿部のベルト、下腿下部のベルトへと順に締めていくのが基本セオリーです。
2. アンダースリーブや専用インナーを活用する
素肌に直接装具を着けると、汗で滑りやすくなるだけでなく、摩擦による皮膚トラブルの原因になります。装具用の薄手アンダースリーブ(筒状の保護布)や、吸汗速乾性の高いコンプレッションタイツ・レギンスを1枚下に履くことで、グリップ力が高まりズレが劇的に改善します。
3. パッドの厚み調整を義肢装具士に相談する
術後数週間が経過すると、活動量の低下に伴い太ももやふくらはぎの筋肉が一時的に細くなります。初期に合わせたベルト調整では隙間が生じてしまうため、付属の調整用パッドを追加するか、定期検診時に来院している義肢装具士にフレームの再フィッティングを依頼しましょう。