死亡説に一定の信憑性を与えてしまった最大の転機は、2019年9月に公表された病気療養でした。
当時、美輪氏は主演・演出を手がける舞台『愛の讃歌~エディット・ピアフ物語~』の東京公演直前でした。体調不良を訴えて病院で診察を受けたところ、ごく初期の脳梗塞(脳虚血発作)と診断されたのです。医師の判断により即座に入院となり、舞台は全日程の中止を余儀なくされました。長年にわたりストイックに舞台に立ち続けてきた美輪氏にとって、全公演中止は極めて異例の事態であり、世間に大きな衝撃を与えました。
しかし、幸いにも発見が極めて早かったため、深刻な麻痺や言語障害などの重い後遺症は残りませんでした。約1週間の入院治療と経過観察を経て無事に退院。その後の経過も極めて良好で、同年冬にはラジオ番組の収録で仕事復帰を果たし、凛とした美声でファンを安堵させました。
当時の療養期間について美輪氏は、自身を過信せず身体の声に耳を傾ける重要性を語っており、この出来事を境に「無理なスケジュールを廃し、持続可能なペースで表現を続ける」方針へと舵を切ることになりました。