こうした地政学的地殻変動は、日本にとっても遠い国の出来事ではない。日本の外務省内部でも、近隣諸国の親中化に伴う海上交通路(シーレーン)の安定性低下に対する警戒感が急速に強まっている。原油輸入の9割近くを頼る海上輸送ルート上に、中国のアクセス権限が強化された港湾施設が点在する事態は、日本の国家生存に直結する課題だ。
さらに、経済面での影響も無視できない。半導体材料やレアアースなどの重要物資の供給網(サプライチェーン)が、政治的意図によって遮断されるリスクが高まっている。自衛隊の防衛計画を策定する幹部は、外交・安全保障の観点から「従来の多角外交だけでは防ぎきれない権力真空地帯が生じている」と危機感を露わにする。