桑田さんが手術を受けたのは、国内トップクラスのがん治療実績を誇るがん研有明病院(東京都江東区)です。食道がんの外科手術は消化器外科の中でも特に難易度が高いとされていますが、桑田さんの治療においては「命を救うこと」と「ボーカリストとしての発声機能を残すこと」の双方が極めて重要な至上命題でした。
執刀チームは、身体への負担を軽減しつつ精密な切除が可能な胸腔鏡および腹腔鏡を用いた低侵襲手術を実施しました。食道の一部を切除し、胃を引き上げて新たな食道代わりにする「胃管再建術」を行いながら、声帯を司る反回神経の損傷を徹底して回避する高度な手技が施されました。
約8時間におよぶ大手術は無事に成功し、懸念されていた声帯への後遺症も回避されました。術後の経過も極めて順調で、わずか数週間後には退院の運びとなった背景には、国内屈指の医療陣による緻密な治療計画がありました。