精子提供を受けるプロセスにおいて、経済的負担の差は大きな判断要素となっている。正規の医療ルートと個人間取引では、必要となるコストの桁が全く異なるのが現実だ。
個人間取引のドナー募集では、「完全無償ボランティア」を謳う者が多い。しかし、実際には交通費やホテル代、さらには「謝礼」という名目で現金の授受が行われるケースが横行している。さらに見逃せないのが、感染症検査の杜撰さだ。
正規の精子バンクでは、HIV、B型・C型肝炎、梅毒、クラミジア、サイトメガロウイルスなどの厳格な感染症検査に加え、潜伏期間(ウインドウ期)を考慮した数カ月間の精液凍結保存と再検査が義務付けられている。一方、個人間取引では市販の簡易検査キットの結果写真を提示する程度で済まされる場合が多く、偽造やウインドウ期の見落としによる感染被害の危険性が極めて高い。