90年代の日本のエンターテインメントシーンを振り返るとき、ふたりの存在感を外すことはできない。森高が情緒たっぷりに歌い上げた名曲『渡良瀬橋』は、哀愁を帯びたメロディと独自の詩的感性で全国民の心を揺さぶった。一方、江口はフジテレビの伝説的ドラマ『ひとつ屋根の下』で熱血漢の長男・あんちゃん役を好演し、最高視聴率37.8%という金字塔を打ち立てた。
音楽とドラマ。それぞれの領域でトップに君臨しながらも、ふたりはお互いの作品や芸術的センスを深く尊重し合っていた。フジテレビをはじめとする各局の番組裏でも、直接的な共演こそ少なかったものの、スタッフの目にはふたりが醸し出す特別な空気感が強く焼き付いていたという。