今シーズンのスケジュールにおいて、もっとも観客の視線を集めているのがグランド・バレエの金字塔たちだ。熊川哲也の振付家としての天才性が凝縮された傑作『クレオパトラ』は、古代エジプトの栄華と愛憎劇を圧倒的なスケールで描き出す。豪華絢爛な舞台美術と官能的な振付は、一度観たら忘れられない鮮烈な記憶を刻みつける。
さらに、バレエの代名詞とも言える『白鳥の湖』では、一糸乱れぬコールド・バレエ(群舞)の幾何学的な美しさと、白鳥オデットと黒鳥オディールを演じ分けるプリマの卓越した表現力が極限まで試される。息を呑むような緊迫感と叙情美のコントラストは、まさに劇場の特等席で体感すべき白眉の瞬間だ。