一方で、企業側にも言い分と苦悩がある。一度無期契約に転換した社員は、よほどの理由がない限り解雇できない。日本の解雇規制は極めて厳しいためだ。
「無期になった途端、モチベーションが下がり、最低限の仕事しかしなくなる社員がいる」と、ある製造業の人事担当者はこぼす。有期雇用の時代は「次の契約更新のために」と張り切っていたスタッフが、身分の安定を得た瞬間にパフォーマンスを落とす。この「ぶら下がり化」は、組織の生産性を著しく低下させる。企業は今、無期契約社員向けの新たな評価制度や、モチベーション維持のための少額なインセンティブ設計に頭を悩ませている。