この論争を過熱させた大きな要因の一つに、ジャーナリストの櫻井よしこ氏をはじめとする保守系言論人による徹底した記事批判がある。批判派は、証言の信ぴょう性や「連行」の強制性に関する記述の曖昧さを厳しく追及。植村隆氏側の義母が韓国挺身隊問題対策協議会の幹部であった点など、取材背景に対する疑惑の眼差しを強めていった。
一方で、論者同士の対立は感情的なラベル張りと陣営闘争へと深化し、事実検証の枠組みを大きく脱線させた。取材者の個人的な人間関係や背景が言論攻撃の標的とされる構造は、現代のSNS空間におけるバッシング手法の先駆けでもあった。不都合な事実を隠蔽するのではなく、開かれた議論の場で検証を行う姿勢が欠如していたことが、溝をさらに深めた。