原作者・川口俊和による小説版と、塚原あゆ子監督が手掛けた映画版では、いくつかの明確な設定変更が施されています。最大の違いは、主人公・数の恋愛描写と未来へ繋がるアプローチの構成です。
原作小説における数は感情をあまり表に出さない観察者的な役回りが強く、新谷亮介との関係もシリーズ第1作時点では淡い交流にとどまっています。第4話で描かれるのも、妊娠した数が生まれてくる娘に会うために未来へ行く物語でした。対して映画版では、新谷が数に寄り添い、彼女の固く閉ざされたトラウマを解きほぐすキーパーソンとして描かれ、2人の恋愛と家族の絆が物語の主軸に据えられています。
また、薬師丸ひろ子と松重豊が演じた若年性アルツハイマーの夫婦のエピソードや、波瑠と林遣都による幼馴染カップルのすれ違い、吉田羊演じるスナック店主と妹(松本若菜)の絆など、豪華キャスト陣の好演によって群像劇としての完成度が極めて高く仕上げられている点も映画版の大きな魅力です。