恐怖の対象として語られがちなこの建造物は、土木遺産として極めて高い価値を有しています。正式名称は「伊世賀美隧道(いせがみずいどう)」といい、明治30年(1897年)に竣工しました。
当時、三州街道(現在の国道153号の前身)の近代化と物資輸送の効率化を目指し、地元の有志や技術者が総力を挙げて建設した大規模プロジェクトでした。坑口(ポータル)部分には立派な花崗岩の切石が積まれ、内部は美しいレンガ造りのアーチ構造で仕上げられています。
その歴史的・景観的価値が国に認められ、2000年(平成12年)には国の登録有形文化財に登録されました。明治期の道路用素掘り・石造トンネルの技術を今に伝える貴重なモニュメントであり、決して単なる「心霊スポット」として片付けられるべき存在ではありません。