中村七之助は、歌舞伎の舞台にとどまらない幅広い活躍で知られる。ハリウッド映画『ラスト サムライ』では若き明治天皇役を見事に演じ切り、その気品ある佇まいは海外の評論家からも高い評価を受けた。また、NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』で見せた落語家・三遊亭圓生役の圧倒的な存在感は記憶に新しい。
しかし、彼の神髄はやはり歌舞伎の「女方」としての表現力にある。妖艶でありながら気高く、観客の心を揺さぶる演技力は、現代の歌舞伎界において唯一無二の光を放つ。映像作品での経験を舞台へと還流させ、伝統表現に新たな息吹を吹き込み続ける姿勢は、多くの演劇ファンを魅了し続けている。