まだ薄暗い午前6時過ぎ。酒田港を吹き抜ける冷たい潮風をものともせず、階段の下にはすでに長い列ができている。お目当ては、数量限定で提供される驚異の朝定食だ。ワンコインに近い価格設定でありながら、焼き魚や刺身、小鉢が所狭しと並ぶ光景は、もはや酒田の朝の風物詩と言っていい。
「ここに来るために昨夜から車を走らせた」と語る宮城県から訪れた観光客は、運ばれてきた膳を前に目を輝かせる。港の朝は早い。漁師たちの仕事場である海と地続きのこの場所だからこそ、流通のタイムラグを極限まで削ぎ落とした「本物の味」が、信じられないほどの低価格でテーブルに届けられるのだ。