匿名性の陰に隠れた悪意は、既存の法的・倫理的枠組みを容易に突き破る。ランダムマッチング形式のコミュニケーションツールは、予期せぬ出会いを提供する一方で、記録と拡散のリスクを常にはらんでいる。画面の向こうにいる人物が善意の第三者である保証はどこにもない。
ここ数年で急増しているのが、深刻なネット名誉毀損・プライバシー問題だ。個人の実名や勤務先、過去の交友関係までを徹底的に暴き出す「特定班」の動きと連動することで、被害はネット内にとどまらずリアルな生活空間へ波及する。名誉毀損罪やプライバシー侵害に該当する明白な違法行為でありながら、加害者側には「ネット上の祭りに参加しているだけ」という極めて希薄な罪悪感しか存在しない点が、この問題の最も根深い闇と言える。